北杜折々の記8

二畝借りた畑にジャガイモ、サツマイモ、カボチャなどを植えました。今が収穫の時です。
二畝借りた畑にジャガイモ、サツマイモ、カボチャなどを植えました。今が収穫の時です。

「子供の同意を得るために」

 

 北杜移住のきっかけは、一目ぼれ。

 

 ある講演会でこんな話をしたのだが、実際こちらに来てみると、ここがいかに素晴らしい地であるかがよくわかる。僕の場合は体を休めることと終活、特にこれまでの仕事をまとめることが移住の目的だったが、住んでみてこの地を終の棲家にすることが目的の一つに加わった。ただ、子供はそれなりの心配をするようだ。

 東京の屋敷を処分してこちらに移り住むことを二人の子供に告げたところ、長男が強く反対した。理由は、『お父さんたちが生活できなくなった時、東京からそちらへ行って看病するのは無理。かといって、自分の性格からお父さんたちをほっておくことはできない』ということだった。責任感の強い、長男ならではの言葉だ。北杜を終の住処と決めても子供たちの同意を得ることは容易でない。

 

 こちらで訪問診療を再開すると、いろいろなケースに遭遇する。温かく北杜移住を受け容れてくれる子供もいるが、強く反対する子供もいる。印象としては後者の方が多い。また移住者の中には「子供には関係のない問題だ」と言って、子供を蚊帳の外に置くこともある。どのようなケースであれはっきりしているのは、自分たちが老い、人の手を借りないと生きていけない現実が迫っていることだ。

 老いや死というSeriousな問題を、多くの移住者は解決を先延ばしにする。だがそのことによって、選択が制限されることを知るべきである。その意味からいうと、今のうちに子供と「自立できなくなった時どうするか」という問題を突き詰めて話し合う必要がある。反対する子供たちが安心して両親の北杜移住を認めてくれるためには、この地が最期まで豊かな生を全うするのにふさわしい場所にしなければならない。移住先のこの地がより成熟した地域となるように、僕たちは自立している今だからこそ、力を尽くすべきだ。

 

 今の僕の課題であるが、楽しいチャレンジでもある。この問題の解決ができれば、北杜を終の棲家とすることに子供たちも喜んで同意してくれるだろう。