北杜折々の記9

森茂郎先生らとの共同研究の成果の発表論文。Placenta vol.11, Iss.1, 1990, pp7-15.   
森茂郎先生らとの共同研究の成果の発表論文。Placenta vol.11, Iss.1, 1990, pp7-15.   

 

「森の中の森先生の“森の診療所”」

 

 今の働き場所は”森の診療所“。どんな診療所かというと、表題の通り。

 

 院長が森眞由美先生で、診療所は森の中にある。眞由美先生の丁寧かつ高度な診療が口コミで伝わり、診療所はいつも患者さんであふれている。

 副院長の森茂郎先生は人体病理学の大先生。東大医科学研究所の病理部門で、主に血液疾患とりわけリンパ腫を長年研究され、東大名誉教授である。眞由美先生は血液疾患の専門医なので、ご夫婦で血液疾患の基礎と臨床の重鎮だ。ご夫婦がオペラに熱心なあまり、お二人をオペラ歌手と思っている人もいるようだが、本職は医師である。誤解無きように。診療所は2017年開設で、僕も昨年の秋からそこで在宅医療の仕事をさせていただいている。同門の後輩ということもあり、両先生にはいろいろな面で可愛がっていただき、幸せを感じつつ感謝に堪えない。

 

 森茂郎先生が東大医学部の病理学教室で助手をされていた頃、僕は体を壊して産婦人科の臨床を離れ、2年間病理学教室に籍を置いたことがある。その時の指導教官は、故島峰徹郎教授。その助手をされていた茂郎先生からは、凍結切片の切り方に始まり、酵素抗体法を用いた電顕資料の作成法など、実に多くのことを教えていただいた。その時の仕事の一部がPlacentaという専門誌に載り(図)、茂郎先生が共同研究者として名を連ねている。

 

 この約1年間で、19名の患者が診療を終了した。東京で仕事をしていた時のほぼ1/10の仕事量なので、僕にかかる負担は少ない。19名のうち12名は在宅死(がん6,非がん6)、1名は施設死、残りの6名は開始直後中止になった。現在11名の方に在宅ケアを提供し(そのうち3名はがん患者)、8人の在宅予備軍を外来で診ている。森の診療所のおかげで、今の最善のペースでの働き方をKeepすることができている。

 

 森の診療所のホームページ : https://www.mori-srj.com/