北杜折々の記4

南東の方向に富士を望む
南東の方向に富士を望む

 今日は私の75回目の誕生日。

 ありがたいことに、NPO法人きぼうの有志の方々が、誕生会を開いてくださった。私が昨年移住した北杜市は、全人口の5人に一人(20.6%)が75歳以上の高齢者。だから、75歳だからと言って北杜市では大きな顔はできませんが祖父が49歳,父が59歳で死亡したことを考えれば、『大腸がんを克服し、冠動脈ステント4本を入れた体で、よくぞここまで生き延びた』と、自分を褒めたくなるのもしかたありません。もちろん今こうして生きていられるのは、多くの方々の支えがあったからこそです。

 

 それはさておき、これからの私の残された時をどのように計画すればよいのか、大きな課題が残されています。終の棲家を北杜市に構えてよいのかどうか気になりましたので、少し調べてみました。

 北杜市は八ヶ岳の南山麓に広がる山梨県最大の広さを持つ自治体で、風光明媚、自然災害が少なく交通の便もよく、自然環境としては申し分がなく、老後を豊かに過ごすためには最高の場所と考えてよいでしょう。人口は4万4千人(2020年国勢調査)。別荘地として知られていますが、おおよそ人口の半分が県外から移住してきて定住するようになった移住者で占められています。

 調べてすぐ気が付くのは、全国平均と比較しても北杜市の高齢化率が非常に高いことです。65歳以上の高齢者が人口の40%を占め(全国平均29.1%)、人口の20.6%(全国平均15.0%)が後期高齢者です。高齢者が多いので当然死亡率(人口1000人あたり)も12.6と高く(全国平均11.2)、わが国の死因第1位のがん死は少なく(北杜市vs 全国、24.3 vs 27.6%)、その代わりに死因第3位の老衰死が多い(15.8 vs 9.6%)という特色がみられます。男性の平均寿命はほぼ全国並み(78.89 vs 78.79歳)、女性は12位(86.17 vs 85.75歳)です。

 私は北杜の地を大変気に入っており、増築したサンルームで人々の世話になりながら人生を閉じたいと願っています。その夢が実現するためには、今から訪問看護師や親切な介護職員を見つけ、心を通わす必要があります。もちろんその計画には、妻の存在は欠かせません。『万全の準備を』と意気込んでいたのですが、ある数字を見てわたしは驚くとともに不安になりました。それは北杜市の在宅死亡率が12.5%と、全国平均(15.7%)と比較して低いことです。在宅死率の低いことはある程度予測していたのですが、実際に数字を突き付けられるとやはり考え込んでしまいます。これにはいろいろな背景や問題があると思いますが、そのことについては次回以降の記で触れたいと思います。

 

北杜山人敬白